学校へ行く直前。おれは、満面の笑みで、できるだけかわいらしく
哀の目の前に両手を差し出して首をかしげた。
「はい」
「なんのマネだ?」
「なにっておまえ、わかるだろ?」
馬鹿馬鹿しくて付き合い切れないとでもいう風に哀はため息をついて、玄関の扉をあける。
「あ、ああっシカト?」
「早くしろ。遅刻するぞ。」
「ち、ちょこ!ちょこちょこちょこ!!チョコレートをくれ!」
「たわけ」
「な、なんだよ。くれよ。」
「ふん。おまえは、お菓子会社の策略に踊らされる気か?ぼくはそんな愚かしいマネはごめんなのでな。」
「なっえっ?愚か者で結構だから、チョコ、くれよ。」
焦りはじめたおれは、しまいには哀のうでをガシッと掴んで懇願していた。
しかし、哀は、しれっとした様子でその手をふりほどく。
え?あの?
「あ、哀〜!」
「はやくしろ。」

**

一応説明しておくと、やつの名前は彩度哀といって、おれ、色味楽の同居人だ。
同居人というか、ぶっちゃけ、恋人だ。去年の末、お互いに死にかける出来事があって、まぁ、その関係で
知り合って、付き合いはじめた。まぁ、その辺は割愛。
ふだんはあんなふうに可愛げもないし、喋らないし、病的な几帳面だし、
とにかくおれの行動すべてに文句をつけてくるけど、本当はすごく優しくて面倒見がいい事を知ってる。
それに、なぁ…。えっちのときは、もう、とろとろになっちまって、すげえ可愛いんだ。

で、そのかわいい哀のことなのだが。
今日はバレンタイン。すべてを省略して簡潔にいうと、好きなやつにチョコレートを渡す日だ。
…ちなみに、朝あんなにもしつこく哀に迫ったのはそれなりの理由がある。
おれは、チョコレートが食べたくて仕方ないから哀に迫った訳ではない。
4日前に、もうすぐバレンタインだなーみたいな話を哀としてて、
「おれは、チョコレートなんてまどろっこしいものじゃなくて、哀くれればいいから!」
って言ったら、当然ばかって返事が帰ってきて、それでもおれが、「何もくれなかったらかわりに
哀をもらってバレンタインにするから」っつってほぼむりやりHになだれ込んだもんだから、
もう哀は怒って怒って大変だった。次の日から向こう、機嫌が悪くて仕方がない。
「(まぁ、哀がへそ曲げるのはいつもの事なんだ。
そうじゃなくて)」
一昨日から、哀は、いつもよりも30分早く起きて、チョコレートのお菓子を作っているらしい。
哀は、おれはねぼすけだと思い込んでいるから、それに気付いていなかったようだが。
失敗したチョコレートのこげるにおいと、牛乳をあたためる甘い匂いが、様々なレシピを試す、
哀の一生懸命さを物語っていて、おれはすごく嬉しかった。
何もかもいい加減で、爪先しか見ていないおれにとって、
哀のきちんとした性格はすごく心地よくて、安心できるものだった。
そんな哀の誠意をおれは、踏みにじる事は出来なくて、今日まで、チョコレートの事は一切口にしなかった。

「(ていうか…)」
当然、おれの分だって思ってたし。
哀は、家族とは上手くいっていないし、友チョコするような特別仲のいい友達もいないと思う。
「(じゃ、だれ?)」
居眠り用に持ち出した体操着入れにおれは、顔を埋める。右スミに、哀が刺繍したG.Iのイニシャルがある。
浮気?別に好きなやつがいる?…誰?
あいつに、そんな不正な行為ができるとは思えないけど。
でも、鞄に入れたあのチョコレートはおれ宛ではないと言う事だ。
「(…むかつく)」
素直じゃない哀も、チョコレートを渡される誰かも。
なんで、こう、うまくいかねえかなぁ…

**

「そりゃ、もう無理矢理にでも上手く行かせるしかないだろ。」
「わ、わわ!?」
「イエス!!久しぶりー!!」
はっはー!と、大声で笑われて、おれは驚き過ぎて心臓を押さえた。
こ、このテンションの高さは。
「イ、イカリ?」
「そうそう。そんなもんさ、身体に聞けば早くないか?」
「身体?おまえなー簡単に言うけど、最近、あいつガード固いんだぞ。あっという間に投げられるし、
5回言って1回良しくらいだし。」
「押しがたりねんだよ、押しが。おれが手伝ってやろうか?」
「…手伝う?なにを?」
「仲直り♪」

「いい」
おれは、イヤな予感がして、即座に断った。この男に任せるとロクな事はしない。
「お礼は一回哀とやらせてくれりゃ、いいぞ?」
「何を恐ろしい事をいってんだ。いらないっていってるだろ!」
「ん〜?じゃ、3人に妥協してやるよ」
「お、ま、えな〜!聞いてるか?いいって!」
「なんだよ、けち。一回くらいイイじゃん。おれが、もっと哀をよくしてやるぞ?」
何の遠慮もなくポンポンと恐ろしい事を言うイカリに、おれは、ふつふつと怒りが込み上げてた。
「だぁー!!いらないっていってるだろ!大体、哀はおれのだぞ?おれの大事な恋人だぞ!?」
主張する様に叫ぶと、イカリはふう、とため息をついた。
「おまえさ、そんなんだからダメなんだって。好きだ好きだで押してるから哀がひくんだろ?」
「ひ、ひく?どういうことだよ?」
「チョコくれないのだってさ、おまえがバレンタインだ、チョコだ、好きっていえだ言ってウザくて
わざわざスルーしてんのかもよ?あいつを泳がせてやるくらいの心の余裕もてって。」
「…もっともらしいけど、チョコと泳がせる事とおれがうっとおしいって事は微妙に関係なくねえか?」
すると、イカリは少しだけ驚いた顔になって、おれの頭を撫でた。
犬でも可愛がるような仕種で。
「…おまえ、ちらっと賢くなった?
やっぱ、哀と付き合いはじめたからか?まえはもっと頭悪くて流されやすくて可愛かったのに。」
「な、なんだと!?」
「う〜ん…なぁ、だめか?おれがばっちり仲直りさせてしかも、哀をすごいその気にさせといてやるぞ?
…楽?」
「て、てか、おまえ謹慎じゃんか…!」
「仮釈放っつうか、少し外でてもいいって許可は出てるから。な?」
イカリのお願いモードに、おれはたじろいだ。
なんだかんだいって、イカリに助けてもらって生き延びてるってのは確かにある。
そのお礼は確かにしていない。っつって、哀を差し出すのもおかしな話ではある。
「…ぜっっっったいやりすぎんなよ?挿入は絶対禁止。絶対。」
「ちえ。だめか?哀、どれだけ旨そうに調教されたのか見たいんだけどなー。」
「だめだめ。おれのもんなんだから。」
「まぁ、いいか。仲直りした暁には混ぜてくれよ?」
「はぁ!?そんな事は言ってな…っ」
言い終わらないうちに、イカリは夢から姿を消した。
「…う〜ん…」

**

放課後、4時を過ぎた頃に一人で帰り支度をしている哀を見つけて、イカリは声をかけた。
「あいつ、にぶちんだからおまえがチョコを渡し損ねてるだけだとは気付いてないぞ。」
「…!」
「なんか言いたそうだな。そう。気付いてんだぞ、あいつ。おまえがチョコ作ってんの。」
「…だとしても。イカリには関係ないし。」
「…それがあるんだって。」
イカリはひょいと哀を抱え上げると、自らは椅子に座って、その膝の上に哀を乗せた。
「な、なにを…っ」
「混ぜてもらう約束したし。おまえとあいつが喧嘩してセックスできなきゃ本当に困るんでな。」
「ちょ、やめろ!」
「旦那様を怨め、奥様。」
「お、奥様じゃねえ!ふざけんな変態が!」
哀は、イカリに抱えられながらもばたばたと暴れて、逃れようとする。
イカリは、涼しい顔でその抵抗を押さえ込み、ついでに、ズボンと下着を一緒に引っ張る。
「やめろ…っここ、教室…!」
そのうえ、イカリが入って来た教室の扉は1/3程空いていた。
イカリは、聞こえない振りで、完全にズボンを足から剥ぎ取ってしまう。下半身に隠すものが無くなった
哀は、両足を摺り合わせて、前を隠した。
「ていうか、おまえらどんだけ激しいの?キスマークの上にキスマークが付いてんだけど。」
「う、るさ…っ」
摺り合わせた足の上に手をすべらせながら、イカリは太ももを撫でる。
その感触に気が弛んだとたんに、哀は性器を掴まれてしまった。
柔らかく性器をもみながら、イカリは耳もとに囁く。
「ん…っ」
感覚を打ち消す様に、哀は目を引き絞って身体を固くした。
「色味以外には身体を開かない訳だ。ふーん。固いねえ、奥様。
おれとやった頃は自分の身体なんてどうでもいい風だったのにさ。」
「るさ…っ
…っあうっ」
先を摘まみ上げられて、哀は、思わず声を上げてしまう。
イカリはおもしろそうに、敏感なその部分を指でいじくり回す。
そのたびに、哀の短い吐息がもれる。
「ビンゴ?」
「ち、ちがう…っ」
やがて、指先に液体が絡みはじめる頃には、哀は、ゆるく、でも、本気で抵抗を始めた。
「も、はな…せっ」
「ん?今まで素直だったのにどうした?」
「も…いいだろ…!?ちゃんと、ちゃんと渡すから…っ離せよっ」
嫌がるからだとは別に、性器はたちあがってふるふると震えている。
「もう、出そうだぞ?」
「…っ」
矛盾した行動にイカリは首をひねりながら、哀の奥まった部分に指を当てた。
「う、わ…。色味…結構開発したんだ…」
「さ、さわんなよ…っも、やめろ…っ」
その部分は、息吹いて、呼吸する様に動いていた。
指を当てただけで、くにゅくにゅと動いて、取り込む仕種をする。
濡らした訳でもないのに、もうそこは柔らかくとろけて、何かを取り込もうとしている。
「コーフンすると、ここ、言う事聞かなくなる訳だ?」
「…っ」
真っ赤になった顔で、哀はそっぽを向く。
さっきから、廊下の方ばかりを見ている。
4時すぎの放課後だ。もうほとんどの生徒が帰るなり部活動に行くなりをしているから、人通りはない。
それでも、人通りは気になるようで、ずっと耳をすましているようだ。
哀も、これ以上何かされたら、逃げ切る自信がなかった。
「(くそ…っ楽の、ばか…っ)」
楽と同居したばかりの頃は、毎日身体を求められた。しかも、毎夜一回ではない。
くるった様に好きな相手に求められる事は、わりと嬉しい事だ。
「(変態か)」
そう思ったりもしたが、楽が、中で気持ち良さそうにしているのを見ると
簡単に身体を許してしまった。
このままじゃいけない、と気付いた頃には哀の身体はおかしくなっていた。
勃起してしまうと、からだのほぼすべての機能がストップする。
身体が弛んで、すぐにでも入れてもらえるよう、からだが勝手に準備を始めてしまう。
そうなると、もうダメだ。
頭の中が真っ白になって、目の前にある快楽と、楽にペースをあわせる事で頭が一杯になってしまう。
ふつうにだすよりも、後ろの方が気持ちがいい事に、気付いている。
このままでは、イカリを相手にしても何を口走るか。こんな状態で、振り切って逃げられるかもわからない。
「や…いやっ…」
まっすぐにたつそれを撫でる様にされて、哀は、射精の直前まで辿り着く。
臀部の指は、入口を撫でるだけで、中に入ろうとはしていなかった。
右に強く引っ張られ、入口が変型する。
「すご…けっこう濃いピンクなんだな。な、おもしろいもんやろうか?」
「いらな…あ、あ、ああーっ」
フェイントのようにつめを立てられて、哀は射精する。
荒く呼吸を繰り返している最中に、イカリは指を挿入させた。
引き込むような弾力に、イカリは目を見張った。
「(すご)」
「ん、んんっ…だ、 だめ…っ」
両足を抱え上げ、秘部のすべてを扉に向かってさらけだすようなポーズを取らせると、哀は、また抵抗を始める。
腕を突っ張らせているのに、指を深く挿入されるだけで、その抵抗が緩くなる。
「このほうが燃えるだろ?だれかがこんなことしてるの見ちゃうかもだぜ?」
「いやぁ…っ」
「こんなとこに指いれられてさ、気持ち良さそうにしてんの。
はずかしいな?哀。」
「あ、…ん、いや…ぁ…っいやっ…あ、…っ」
ぞろり、と探る様に指を大きく旋回させると、哀は、弱々しい声で鳴いた。
「こんな感じまくってるんじゃ、色味も大変だな。ふうん。でも、楽しめそう。
哀、これで、もっともりあがるぞ?」
イカリは、ポケットから、珠のようなものを取り出した。
ちょうどピンポン球のひとまわり小さいくらいの大きさのそれは、濃いピンク色をしている。
そして、それを入口にあてがい、挿入させる。
「あ…いやっ何入れたんだよ…っ!?」
「ん?あんま動くな?割れると大変。だぞ?」
そう言うと、哀の抵抗はぴたっとやむ。
そして、更に奥にそれを押し込んでしまう。
「まだ入るな?」
「…!あ…っ」足音が聞こえる。たしかに、教室に向かっている。
「だ、やめっ…やめろ!…人が…!」
イカリは聞こえない振りをして、二つ目を入口にあてがっている。
「い、いや…っ」
挿入する音が聞こえた瞬間に、そこには人がたっていた。
「!
あ、あ、あああっ…っ!」
強く押し込まれて、ねちゃり、と音がした瞬間に哀は、放っていた。
「あ、ちが…ちがう…んだ…」
「哀…」
そこには、楽が立っていた。
「よお、色味。いいなぁ、おまえ。哀、こんなに開発したんだ?」
両足を片手で抱え込む様に持ち上げながら、イカリは楽に見える様に、そこ箇所を引っ張ってみせた。
「あのなぁ…すんなよ、そこまで。てか、なにそれ?何入れた?」
特に驚いた様子もない楽に、哀は愕然とする。
「(え…?)」
楽は、つかつかと近寄ってくる。
「ほら。おもしろいおもちゃなんだぜ?これ。」
「きゃあ…っん、んんっ」
指で緩くそれを掻き回されると、ごろごろとそれらが動き回って、内部を強く刺激してくる。
「が…がく…っ」
浮気まがいの事をしている羞恥心と、真正面から恥部を見られている恥ずかしさで
哀は真っ赤になっていた。
「ん…み、みないで…ごめ…っ」
もう、色んな気持ちがごちゃごちゃになって、なにを言いたいのかもよく解らない。
「ほんっとイカリはロクな事しないし。」
「ええ?おまえ、こういうの嫌い?おれは大好きなんだけど。
おまえ、サドのくせにへんなとこ優しいよなー。」
「おれはサドじゃねえし!」
それは、ある、と心のスミで哀は思ったが、身体の中の妙な異物感に声が出なかった。
とにかく、一刻も早く出して、うちに帰りたい。
「とにかくはなせって。イカリ、おまえやりすぎ。」
「んだよ。ぜっかくここまでしたのによー」
「今回は絶対ダメだからな。」
「(今回…)」
そうだ。そもそも自分がこんな目にあったのは、 楽が、イカリとなんらかの取り引きをしたからだ。
すべては楽が悪いのだ。
「(くそー!!)」
そうだ。楽が悪い。
「絶対次はまぜろよ」
イカリは、心底悔しそうに舌打ちすると、すう、と気配を消した。

**

がくがくと震える哀をかかえて、おれは、バスにのっていた。
帰宅時間が重なったのか、バスの中はぎゅうぎゅうで、寿司詰めのような状態だ。
哀の顔は真っ赤なままで、苦しそうだ。
本当はあの場で出してやればよかったんだけど、やっぱりいつ人が来るか解らないし、
おれは、とりあえず、うちに帰ってから出す事にして哀を抱えてバスに揺られていた。
学校の近所に住んでいるおれが何故バス通かと言うと、引っ越っしをしたからなのだった。
哀が、どうしても一部屋欲しいと言うので、2Kのアパートに引っ越した。安さを重視したため、少し、学校から離れてしまったと言う訳だ。
「く…そ…。楽の、せいなんだろ、ぼくが…っイカリ、なんかに…
あ、あんな事…!」
「あ、あ、あ…う…ううん…だってよ、おまえ、…そう、おまえ、誰に浮気する気なんだよ!?」
「はぁ?なにを…」
「チョコ。誰のだよ。おまえ、毎朝一生懸命チョコ作ってただろ!だれのだよ!」
「!」
しまった、と思った時には遅かった。
「見てたのか」
「み、見てたと言うか、聞いてたと言うか…」
「覗き魔。…くそ!」
哀は、真っ赤になってうつむいた。
「誰のだよ」
「関係ない。」
「なに?」
「教えないって言ったんだよ!」
きっと睨み付けてくる顔に、おれはふつふつと怒りが沸き上がってきた。
「おまえ、本当かわいくない。」
「可愛くなくて結構だ」
「素直に言え?じゃないとお仕置きしちゃうぜ?」
「なにを…戯けた事を。ぼくがそんなことさせると…」
哀の小振りな尻をぎゅ、とつかむ。
男のくせにふにゃふにゃととてもやわらかいそれを、おれは、密かに気に入っていた。
「あ!」
「シィー」
哀は口を押さえて、小声で、バスの中だぞ、と言った。
「おまえ、可愛くないんだもん。しかも、関係ないとか言うし。」
揉みしだくと、哀は、びくびくと震えて、目を瞑った。
こんな場所でこんなことをされる羞恥心からだと思うが、その姿はやばいくらいに可愛い。
「こうやってるとかわいいのにな…」
「う、るさ…この、痴漢…っ」
むっとしながら、手を更に奥まった部分にすべらせる。
イカリにみょうなものをくわえこまされて、そこは服越しでも解るくらいプクリと膨れていた。
「!!…い、ぃあ…あぁ…っ」
とたんによわよわしい声が聞こえてくる。
それでも平気な顔をして、入口と思われる場所を強く押し込む。
哀の身体がおおきくびくりと震えたのが解る。
「が…がく…」
「浮気しようとする哀がわるいんだぜ?」
「あ…ああっ…っ」
もう、声を押さえ切れなくなってる哀の口元をっ手で押さえて、おれは行為に没頭してた。
周りの人たちは、帰り道にラッシュにあっているイライラと疲れとでまるでおれたちの様子を気にしてはいなかった。
それでも哀は気になるようで、なんとか状態は崩さない様に、おれにしがみついている。
指の腹で、かすかに浮き出た球の形を押し上げると、なかでふたつのそれらがごろごろと動き回るようで、
哀はからだをくねらせる。
「…ん…も…いぁ…あ…っがく…」
そろりと前を確かめると、哀自身は、解るくらいに立ち上がっていた。
もしかしたら、もう下着は濡れているかもしれない。
「(ちょっと、やりすぎたかな…)」
哀をぎゅう、と 抱き締めると、おれは運転手に連れが気分が悪くなった、と説明して下ろしてもらった。

**

ひざががくがくと震えたままの哀を引きずって、おれはうちに辿り着くと、すぐに自分も哀も服を脱がせて、
ベットに倒れ込んだ。
そして、哀のからだを半分に折り畳んで、異物を含んだそこに指をはわせた。
バスの中で散々いたずらしたそこは真っ赤に晴れ上がって、より奥にそれらを飲み込んでいた。
「が、がく…はやく…」
「ん。出すよ。」
おれは、いつも使っているジェルをとりだして、入口に塗り込めた。そして、そのすべリを借りて、2本の指を挿入させる。
「あ、ああ…っ」
ぶるぶると、哀の性器は先走りをこぼしながら、はち切れんばかりに膨れる。
一本の指でなんとか一つを探り出して、それをかきだす。
「い、いたい…っ…がく、いたい…それ以上広げないで…っ」
「え?でも、おまえそうしないとこれ、出せないし…」
「いたい…よ…っ」
たしかに、指ニ本と、さらに珠のぶんだけそこを広げるのはかなり苦しいだろう。
「じゃ、哀自分で出す?」
「!じ、自分で…!?そんなの…いや…」
「じゃ、おれが出す?裂けそうなくらい痛いんだろ?」
「…」
すると、哀は、無言で起き上がると、膝立ちになって、はらに力を込め出した。
「すげ」
「み、みるな…っも…おまえのせいなの…に…!」
真っ赤になって、腹部に力を込めて、それを押し出そうとするすがたに、おれはくすりと笑ってまるまっているまま抱き締めた。
そして、おれの腹の上にのせると、Mの形になる様に足を割って、
柔らかな腹に手を添えた。
「もっと力込めてみ?」
「ん、んんっ…っ」
いりぐちから、それが顔をだす。その卑猥なビジュアルにおれはめまいがしそうだった。
「(やばい、やっぱおれって、イカリと同類なんかも…)」
おれは優しく腹部を撫でて、入口のふちを引っ張った。
「そ。いいじゃん。も少し。」
こぽり、と完全にそれが出てくると、哀はほっとして、おれにしなだれかかる様に抱きついた。
呼吸が荒い。
「も…ばかやろ…」
首筋にキスを落として、おれは入っていた珠を拾った。哀の体液でべとべとになったそれを掴むと、わずかに柔らかい事に気付く。
そして、ぎゅっと手のひらに握り込むと、ぶしゅ、と音がして、つぶれた。
「(これ…つぶれるんだ…)」
なかの液体は何か解らないが、イカリが毒薬とか、そんな危険なものを盛ったりするとは考えにくい。
「(じゃ、出す必要無いじゃん)」
「…あ…?」
哀の脇に両手を入れて、持ち上げ、おれのたちあがったものの上にひたりとそこを当てた。
「ば…!おまえ、何を考えてる…!?まだ入って」
ぬるぬると多少すべりはしたものの、きちんとくぼみに引っ掛かると、そのままつぷつぷと肉棒を柔軟に受け入れる。
さっきまでふくんでいたものがなくなって、多少物足りないのか、内部は吸い付くようだ。
「あ、あ、あ…っいや、挿入って…いや…ああ…っ」
言葉とは裏腹に、哀自身は、とろとろと蜜をこぼし、もう射精をまち切れない様子だった。
「すご…動いてる。ほらここ。わかる?」
「いや…っんんっあたる…っ」
珠に先端が当たると、おれは、掻き回す様に哀の身体を動かした。
「きぁ…や…っへん、だよ…おく…へん…っ」
「哀、いっつもこうされんの好きじゃん。奥をぐりぐりって。」
ころころと動く珠がよけいに いいのか、哀は、ひっきりなしに精を飛ばす。
「あ…きゃああ…っ」
上体がふらふらになった哀は、前のめりになって、おれの首に抱きつく。
「哀、どう?本当はイイだろ?」
「…あ、…ちがう…っ」
息を荒げても、哀は本当の事を言わない。
「もっといじわるするぞ?」
そういって、自身を少しだけ引き抜くと、哀は、なにをされるのか分かったのか、素直に言葉を紡いだ。
「気持ち、良い…っ楽の…すごくいい…っ」
その言葉を聞いて、おれは、体重を支えていた両脇の手を離す。
「きゃあああああっ」
力の入っていない哀の身体は体重がかかり、すべてを受け入れてしまう。
「あ、いやあぁっい、いったのに…っ」
その勢いで、中の珠が弾ける。
「うわ…すご…」
「?いや…なか、なんか …」
ぬるぬるとした液体が、中にしみ込んで行く。
「ん…っんんっ…」
哀は、とたんに真っ赤になって、勝手に腰を揺すりはじめた。
「なに?どうした?」
「なか、変だよ…っかゆ…っ」
「は?」
「かゆい…っ」
哀は、もう耐え切れないみたいで、めちゃくちゃに、こしをゆすっている。
それでも足りないのか、痛いくらいに腰を上下させて、おれ自身を擦りあげる。
「ん、んんんっ気持ち、いい…っ」
ぴしゃぴしゃと精液が飛び散る。
「(要するに、催淫剤、みたいな…?)」
そのうち、ぐしゅぐしゅと中身がもれてきて、泡が立ちはじめる。
にちゃにちゃという音はどんどん酷くなるのに、哀はいっこうに収まらないみたいだ。
「あ、あんぅ…っんっあ、あ、あああっ」
おれを含んでいるところが、擦られ過ぎて真っ赤に腫上がっている。
それでも、傷みを感じないのか、哀はぎりぎりまで引き抜いては落とす、と言う行動を繰り返している。
中は、ドロドロにとろけて、きつく締め付けて離そうとしない。
「哀?大丈夫か?」
「が、楽っ…おかし…おしりが…っかゆい、よお…っ」
ぼろぼろと涙をこぼしはじめた哀を抱き上げて押し倒すと、哀の片足を大きくかかげて、その間に身体を滑り込ませた。
松葉崩しは、もっとも身体を深くつなげる事ができる。
太ももを掴んで、遠慮なく出し入れを繰り返すと、
哀はうっとりした表情になって、自らと、乳首を弄りはじめた。
いつもなら絶対に考えられない行動だ。
驚くほどに気持ちが良い事に忠実になっている。
突き上げるたびに、がくがくと哀の身体が浮き上がったが、それでも痛くないみたいで、
哀は、なんども自らでミルクを絞る。
「どうしたの、哀…こんな、えっちになってさ…」
「きゃぁあっ」
もっとも深いとこを突き上げて耳もとに囁くと、とろん、としたもう、完全に自我がとんだ瞳で、キスをした。
「もっと…もっと楽のでかきまわして…?それで、ここ、なめて…?」
ぐい、と見せつける様に胸を張ると、哀の、真っ赤に染まった乳首が眼前に広がった。
そこにすいつくと、哀は、かすれた消え入るような声で叫んで、また放った。

**

「盛り上がってたじゃん」
「…」
「なんだよ、怒るなよ。好きなくせに」
「たしかに楽しかったけどさ、こりゃもうドラッグと大してかわらねえだろ!」
夢の中で現れたイカリに怒鳴ると、いかりはしれっと答えた。
「素直な哀もいいな〜とか思ったくせに。」
「そ、そうだけど…っでも、哀あのあとから熱出てるんだぞ!?」
「大丈夫だって。薬抜ければまた元気になるって。ははは!」
相変わらずたのしそうなイカリにため息が出る。
「仲直り、してたじゃん。感謝しろ?」
「う、うう…」
あのあと、意外にも哀は、あやまって、チョコレートをくれた。お前のために作ってた、とも
答えてくれた。すごく嬉しかった。
「ま、今度はまぜてくれよ?」
「ぜったいダメ!」
あんなかわいい哀は、おれだけのもんだし。
てか、イカリに何要求するかわかんねえからダメ!

でも、あの珠はちょっとほしい、なぁ…




昨年のバレンタインネタ。イカリのとこ書いてる時に、一体どこへ行きたいのかよく解らなくなって中断してました。
しあがってもどこへ生きたいんだろう、この話、と言う感じ。
わたしは、リアルに4才も年をとっているのにやつらはまだ2ヵ月しかたっていないのか〜。いいな〜。

萌えていただけたら拍手お願いします。
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